ボーリンフタマタ(バミノルム)は近年になって記載された亜種で、昔から流通している原名亜種よりもやや安価で入手することができます。
フタマタクワガタの中でもトップクラスに高額な種類でしたが、価格も下がってきており手を出しやすい価格になってきたので興味があった方も是非チャレンジしてみてください!!
ボーリンフタマタクワガタ(バミノルム亜種)について
ボーリンフタマタクワガタ バミノルム亜種はインドのアルナーチャル・ブラデーシュ州に生息しており、原名亜種よりも直線的なオオアゴや内歯の形状に差異が見られるようです。
和名 | ボーリンフタマタクワガタ |
学名 | Hexarthrius bowringi baminorum |
生息地 | インド アルナーチャルプラデーシュ州 |
飼育ギネス | 86.3mm |
野外ギネス | 79.1mm |
野外品の最大サイズでは原名亜種よりも小さいですが、飼育個体に関してはバミノルム亜種の方が大きくなるようです。
近年ワイルドが入荷した事もあり比較的流通量が多い種類ですが、他の多くのフタマタと同じように産卵数が伸びないため価格は高めのままです。
幼虫飼育はカワラ菌糸やマットで飼育される事が多く、低温で管理する事が大型個体作出のmust条件となるようです!
使用する個体の紹介!
今回のブリード個体はヤフーオークションで入手しました。 ペアと2♀を落札して1♂3♀の体制でブリードを開始しています。

ブリードに使用する個体は上の画像の個体で、3♀ペアリング予定なので頑張ってもらいたいです…(ペアリング中に拘束バンドが外れて1♀がやられてしまったので、実質2♀でのブリードになりました・・・)
交尾欲はかなり高く、同居させてすぐに交尾している姿を確認する事ができましたが1週間ほど同居させていました。
♀はフタマタクワガタの♀らしく真っ黒の体色をしています。
産卵セットは底に敷いたマットの上に材を2本転がすだけの簡単セットで、クヌギのぼだ木を使用しています。(管理温度は23~24度)

上の画像は2番目にセットした産卵セットで、セット後3日に写真を撮影しようとするとバッチり削ってくれていました。(フタマタは今のところすぐに削ってくれます! 産んでいるかは別ですが…)
左側がLサイズの材で30秒ほど加水してカブトムシの糞を表面に塗った材、右側がS材で2週間ほどカブトムシの糞に埋め込んだ材になります。 どちらも手で割れるくらいに柔らかい材となっています。
元の材はヤフーオークションで入手したサイズバラバラの1本あたり200円(送料別)ものですが、問題なく産んでくれています! 柔らかくてカビさえ生えてなければとりあえず削ってくれる印象はあります。
どちらの材もしっかりと削ってくれており、L材の方を1ヵ所掘り出してみると卵を確認できたのでこれだけ回収しておきました!(1番初めにセットした産卵セットもバリバリ削っていましたが全て空でした。卵座まで作って空なのは削っている途中に気に入らなくなったのでしょうか…)
9/20時点で2セットを組んでいますが、♂をしばらく休ませてから最後の♀とペアリング→産卵セットと3セット体制で色々と試したいです!
割り出し① 9/26

セットして10日ちょっとでガリガリと削ってくれています!
左側の細い材が自作バクテリア材で右側がLサイズの加水20秒くらいの材です。


削られ方は左側のSサイズの材の方が激しく削られており、しっかりと埋め戻しているのも確認できます!
割り出しですが、完全にバラバラにはせず表面に産み付けたものだけ回収して、割り出した後の材は再び元に戻しました…
結果としては左側の細材からは10個、右側のL材からは9個を回収する事が出来ました。
割り出していない部分からは+10以上は出てきそうですが、ケチなので中古の材でどうにか産卵してもらってから一緒に割り出します!
ボーリンフタマタはかなり孵化率の悪い種類として知られていますが、ブリーダーのブログなどを見ている限りではバミノルムに関しては原名亜種よりも孵化しやすそうな感じはします。(原名の方が悪い感じ??)
左側のS材に関しては強く押すと表面に水が浮き出てくるぐらい水分多めの材ですが、回収が早かったからか1つも腐った卵は見つかりませんでした。 (自作ですがバクテリア材なのでカビが生えていないのも良かったです!)
フタマタ系にはL材を2本並べるよりもS材4本並べて好きなものを齧ってもらう方が効率が負いのかもしれません。
回収した卵について
回収した卵は5~6個を1つのプリンカップにまとめて管理しており、体感では7割くらいは無事に孵化したと思います。
孵化しない卵に関しても卵が腐るというよりも卵から頭だけ死んでいるというパターンが多く、孵化が下手なのか環境が良くないのかは分かりませんがブリードには十分な数は確保できそうです。
とりあえず、9匹をDOSの生オガ800ccに投入して18℃のワインセラーの中に入れ、残りの幼虫はまた別のマットに投入予定です。
割り出し② 22/11/26
上記で紹介した2番目の♀を使用したセットの2回目の割り出しを実施しました。
1度割り出してから約2ヵ月が経過したセットの割り出しを行いました!!(♀自体は再セットから1ヵ月も経たずに落ちてしまいました…)


表面にしか産卵しないので、1度目の割り出しを行った後の産卵木をそのまま使用しています!
それでもボロボロになるくらいに齧ってくれているので期待して割り出しています。

手で真っ二つにできるくらいに柔らかい状態になっており、多くの幼虫達を回収していきます!!
1度目の産卵と同じ産卵木を使用しているので回収できなかった部分にいた子達は2令くらいになっていました。
♀が死んでからしばらく経過していたので、卵もド初令も見つからずいい感じでした!
2度目の割り出しでは16匹の幼虫を回収する事ができました!!!
1匹の♀で30個以上も産卵してくれていたので大満足です…!!

こんな感じでボロボロと幼虫が取れていきました!!
これは2つの産卵セットのうちの1つなのですが、まだ存命の1匹の♀を使用した産卵セットからは全く回収できていないので♀によって当たり外れがあるのかもしれません。
2023/5/13 幼虫飼育の現状報告
去年の11月に割り出した個体ですが、管理していたマットが悪かったのかほとんど落としてしまい、16頭中4頭のみ生存という惨状になってしまいました… 当時はめちゃくちゃ萎えましたが、改めて書いているとどんよりしてきます… それ以前に回収していた個体も含めて最終的には22匹の幼虫をラベリングして管理して飼育していますが、このうち7~8割くらいは無事に羽化してほしいです。
幼虫飼育は一部の実験的に22℃付近で育てているもの以外はワインセラーの中で18℃飼育を続けています。 800ボトルに入れてから半年以上が経過しているのですが、これ2令?というくらいのサイズの幼虫から良い感じに大きくなっている個体まで様々です。
ちなみに22℃飼育している個体は既に前蛹になっている個体もおり、大きさはお察しという感じなのでやはりボーリンには22℃は高すぎるようです。
2本目もDOSの生オガマットを使用予定で、♂は1400、♀は800に入れ替えてそれで羽化まで引っ張りたいです。 とりあえず親は超えて70mmを突破したい所です! 20gくらいあれば超えてくるのでしょうか??
2023/5/27 一部幼虫のマット交換
ワインセラーで管理している個体の一部を交換してみました。

ボーリンフタマタに限らず、フタマタクワガタはこんな感じでボトルの中に坑道を掘って餌を食べています。(シカクワガタも同じような食べ方をしていました。)
このボトル詰めたやつを恨みたくなるくらいのカチカチ詰めで、掘り進めるのも大変でしたが何とか幼虫を取り出す事が出来ました。

3頭を交換して画像の個体がMaxで、♂11.4g、8.0g、♀7.3gという結果でした。
この個体達は昨年の10月にDOSの生オガ発酵マットを詰めた800ccに入れたものですが、これからが食べごろという感じのマット状況だったので3頭だけの交換に留めておきました。
低温管理しているので大丈夫だとは思いますが、交換のショックで蛹化されるのが怖いので1~2ヵ月の間に全頭予定です。
フタマタクワガタは割と幼虫で落ちるイメージがありますが、今のところ1頭も落ちる事なく成長してくれています。
ちなみに、22度前後で管理している個体達は♀が7g前半くらいで固まっていました。