今回は飼育下での大型個体作出が難しいながらも人気の高いエラフスホソアカクワガタの飼育記で、初めての高山系のホソアカという事でとにかく1周ブリードする事を目標に飼育していきます。
幼虫が多めに取れれば色々とマットや飼育方法に変化をつけて試していく予定です。(幼虫が取れればですが…)
エラフスホソアカについて
エラフスホソアカクワガタはホソアカクワガタの仲間で最大種で、メタリフェルホソアカクワガタと共に100mmに達する種類となっています。
飼育で亜種によっては野外ギネスを超える個体が作出されているメタリフェルに対して本種は野外ギネスと飼育ギネスとの間に10mm以上の差があり、大型個体の作出が難しい種類としても知られています。
和名 | エラフスホソアカ |
学名 | Cyclommatus elaphus |
生息地 | スマトラ島 |
飼育ギネス | 97.5mm |
野外ギネス | 109mm |
標高の高い山地に生息しており、高温への耐性がない種類なので低温での温度管理が必須と言われており、水分多めの材飼育で大型個体が作出しやすいというのは分かっています。
大型個体の作出は難しいと言われていますが、ブリードするだけであれば温度管理さえできれば難しくないと言われています。
メタリフェルほどではありませんが、飼育個体の流通量も多く小型の個体であればペア5,000円前後で入手できると思います。(2022年時点)
現地では小川近くの湿度の高い倒木の中から幼虫が見つかるという事から水分多めで飼育するのが主流のようです!
色々と書いてみましたが様々なマットや一部菌糸、水分量等も変えながら試行錯誤して飼育してみたいという事から2♀体制でのブリードになります!
使用個体の紹介!
今回ブリードに使用する個体はヤフオクでトリオ(1♂2♀)で出品されていたもので、2♀対応の力の入れようです!
産地はスマトラ島Mt.デンポーです。(野外流通個体もこのラベルが多い気がします。)
エラフスホソアカを複数ラインでブリードされている方から購入させていただき、♂がWF1、♀がF2と別血統となっています。

大きな個体ではありませんが、メタリフェルとは違うメタリックな見た目とガッチリとした体型が良いです! 小型個体でも他のホソアカクワガタの仲間と比べても脚の力も強いです!
クワガタの中でも最美麗種に上げる人も多く、野外の大型個体は標本収集家の間でも人気が高いようです!

ペアで同居させてすぐにメイトガードが確認でき、1♀に対して1週間ずつ同居させてから産卵セットへと投入しました!
産卵セットは他のホソアカでも使用している産卵一番+スカスカ材のセットで
①コバエシャッター中ケース
②コバエシャッター小ケース
でそれぞれセットしています! ②のセットの中にオスも一緒に放り込んでいます!
産卵温度に関しては情報にバラツキがあるので、高めの方が産卵スイッチが入りそうという考えで23~24度の環境に置いておきました。
こまめに割り出しを行って産卵しているかの確認を行う予定です!
割り出し① 失敗
産卵セットを組んでから2週間経過したので、23~24度という温度帯で産卵するのかという不安もあり確認の意味も込めて割り出ししてみました…
2セットともボウズでした…
割り出し後に
①23~24℃→18℃の管理に変更
②23~24℃→20℃の管理に変更
また2週間ほど経過したら確認の割り出しを行う予定です!
割り出し② 失敗
割り出し①から2週間ほど経過したので2度目の割り出しを行いましたが…
またもやボウズ!!!
メスもケースの底部まで潜っており、産卵しようとしているような感じはしますが卵は全く確認できませんでした… 産卵しようとしている感じはしますが今回のセットが産卵に適した環境ではないという事かもしれません。
産卵セット的にはカウピ、アラガール、メタリフェル(フィナエ、サンギレンシス)と他に飼育しているホソアカは1♀体制で産んでくれていますが、一番力を入れて2♀で結果が出ないのが生物って感じですね…
とりあえず
①の産卵セットのメスは2~3日オスと同居してもらって再度産卵セットに投入
①、②の産卵セット共に水分量を増やして再セット
という感じで試してみたいと思います。 水分は思いっきり強く握ると水が少し出るくらいまで加水しています。
産み始めに時間がかかる可能性も考え、このセットで2ヵ月くらい放置したいと思います…!
①セット割り出し③ 10/10 ちょっと回収
二ヵ月後に割り出すと前回書いていましたが、1ヵ月程度で割り出しを行いました。
今回割り出したのはコバエシャッター中の大きな方なケースで組んでいる産卵セットで、管理温度は18℃でした。(20℃のコバエシャッター小の方はそのまま放置)
ここまで2回とも全く産卵していなかったので正直期待はしていませんでしたが・・
全部で10個の卵を回収する事が出来ました。
水分多めで組んでいたのが功を奏したのかは分かりませんが、やっとの事で卵を回収する事が出来ました。
よく産卵は難しくないと言われますが、我が家では非常に苦しめられました・・
あとは無事に孵化する事を願うだけですが、丸くなっている卵も多いので問題なさそうです。
♀はマットの中でお亡くなりになっていました。この子の18度管理で4~5ヵ月くらいでした。
産卵状況としてはマットの中に半分、フニャフニャな材の中に半分という感じでした。 産卵木にはパプキンやニジイロのように掘り進んだ木屑を固めて産んでいる感じでした。

産卵木の中から大きな幼虫が出てきました・・・ 表面を洗う程度にしか加水していないためか元気です!
コクワガタの幼虫でしょうか?? マットを詰めた800ccのボトルに入れておきました。ちょっとした楽しみができました!
2023年5月追記

めちゃくちゃボケていますが、不明幼虫は47mmのコクワガタとして羽化してきました。
ゴミムシダマシの幼虫が出てくる事はたまにありますが、クワガタの幼虫が出てきたのは初めてだったのでビックリでした!
セット②割り出し④ 10/17 ちょっと回収
コバエシャッター小で20℃管理していたセット②の方も割り出してみました。
水分過多の状態で産卵セットを組んでいたので側面からも一部泥状になっているのが分かります。
柔らかい材を削った削りカスに紛れるような感じで、卵を8個回収する事ができました。

パプキンのように削った材のカスを固めて産卵しているものもありました。
こちらのセットに使用していた♀はまだまだ元気そうだったので、再度産卵セットに投入しておきました。
2♀とも最初は産み渋りからの水分を多めにセットする事で少数は回収する事が出来ました。
スイッチを入れるという意味でも産まない場合は水分量を調整してみるのもアリだと思います!(やっぱり温度はもう少し高めでも良かったかもしれませんが)
2023/5/12 幼虫飼育
しばらく記事を更新してませんでしたが、結果的に18個の卵から9匹の幼虫が成長したのですが・・・
予想以上に幼虫の孵化率が悪かったので多くの個体をwish-aというエノキベースの菌糸に入れてしまいました・・・
ほとんどの個体は18℃で管理していますが、2022年12月に菌糸に入れて食痕が出ているのが1本しかありません。 という事で少しずつ菌糸から掘り出していきます。
食痕がないボトルからでも生存した幼虫が出てきますが、半年経過しても体重は1g前後という惨状で、しかも見た限り♂の個体なんですよね…
wish-aは本種以外にもカウピホソアカ、メタリフェル(フィナエ、サンギ)、アラガールとキクロ各種に実験的に使用しましたが羽化した個体も非常に小さなハサミムシが量産されています…(ホソアカ以外の種類はしっかりと成長してくれています。) エラフスの過去ギネスで菌糸飼育の個体がいたような気がするので、菌糸が全く成長しないという事はないと思いますが…
実験は大失敗でしたが、とりあえず幼虫は健康そうなのでマット飼育に切り替えて無事に羽化してくれる事を目標に飼育していきたいと思います。
2023/5/27 幼虫の飼育状況②
9頭を飼育しているエラフスホソアカですが、菌糸に入れていた個体を順次マットに入れ替えています。
3頭だけ最初からマット飼育していた個体がおり、その中でも20-22度くらいで個体のマットも交換しました。
結果は5.1gも体重がありましたが、♀でも30mmは普通に超える種類なのでこんなものなのかもしれません。(これが♂だったら泣けますが…)
この幼虫も今更ながらワインセラーの中に放り込んでおきました。